アトピーの積極治療で卵アレルギーの発症が減る?

現代において、アレルギーは国民病とまで言われていますね。生まれた我が子に何らかのアレルギーがある、という保護者の方は多いのではないでしょうか?しかも「アトピー性皮膚炎で卵アレルギーもあって喘息なんです・・・」と併発しているケースもあるでしょう。

食物アレルギーは、保護機能が落ちた皮膚に食べ物に含まれる原因物質《アレルゲン》が触れることで発症する、という説が主流です。

今、この説を裏付けるような研究結果が報告され、注目されています。

(2023年5月10日・6月30日の朝日新聞朝刊より)

アトピーの赤ちゃんに「ある治療」をしたところ、卵アレルギー発症率が減った!

食物アレルギーを発症する多くの赤ちゃんは、アトピー性皮膚炎も併発しているケースが多いと言われています。

この度、国立成育医療研究センターの研究グループが以下のような調査を行い、発表をしました。

●2017年7月~2021年2月までの間、アトピー性皮膚炎と診断された生後7~13週の赤ちゃんが対象。
●湿疹がある部分だけにステロイドを塗る通常の治療をする①グループ:322人
●湿疹がない部分も含め、全身にステロイドを塗る積極的な治療をする②グループ318人
●食物アレルギーで最も多い鶏卵アレルギーの状況を生後28週の時点で調査。

すると、通常の治療をした①グループでは、鶏卵アレルギーを発症した赤ちゃんは41.9%だったのに対し、積極的な治療をした②グループでは31.4%に減少したとのことです。

「ある治療」とは・・・「湿疹のない部分も含めて全身にステロイド剤を塗る積極的な治療」です。

それだけの違いでここまで発症率が変わるとは驚きです。

もちろんお風呂上りなどに赤ちゃんの体全体に薬を塗るのは保護者にとっては大変なこと。でも鶏鶏卵アレルギーがこれだけ減ったという実験結果があるので、あなどれませんね。

なぜ「積極的な治療」が功を奏したのか?

アトピー性皮膚炎は、家庭で調理した食べ物のアレルゲン物質が部屋の中に細かく飛び散り、それが赤ちゃんの皮膚に触れることで発症するとされています。

そこで、ステロイド剤を全身に塗ることで、全身丸ごとアレルゲン物質から肌全体を守れ、結果として食物アレルギーの発症も抑えられたのです。

アトピー皮膚炎の赤ちゃんは早期から積極的な治療をすれば食物アレルギーの発症が抑えられる

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんには、湿疹の部位だけにステロイド剤を塗るのではなく、身体全体に塗ってあげましょう。そうすることで食物アレルギーの発症を抑えられます。

就学前にアレルギーが治らない子どが増加している

日本アレルギー学会理事長の海老澤元宏医師によると、食物アレルギーを持つ子どもの数は増えており、原因もさまざまとのこと。花粉症の人は果物類のアレルギーを発症しやすい傾向があり、子どもの花粉症が増えていることも一因だろうと語っています。

一方で、卵・牛乳・乳製品・小麦のアレルギーについては、今までは乳幼児期に発症して就学前には治る事例が多かったのですが、治らないまま小学校に入学する児童が増えているとのことです。

小学校では給食があり、児童一人ひとりのアレルギー状況に応じてメニューを変えるなどの措置がとられています。今後増えるアレルギーの児童に対し、学校側はより一層の柔軟な対応が求められるでしょう。


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