絵本を囲む親子の時間が幼児の心身の発達を支える理由
絵本を親子で楽しむ時間は、言葉の発達だけでなく、運動や生活習慣、人との関わりにもよい影響を与える可能性があるそうです。
東北大学などの研究結果から、絵本を介した親子の時間について考えます。
(※2026年2月23日の朝日新聞の記事を参考にしています)
約3万7千組の親子を対象に調査
東北大学などの研究チームは、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に登録された、全国約3万7千組の親子のデータを分析しました。
対象となったのは、2011年から2014年に登録された親子です。
研究では、子どもが1歳から3歳の時期に、保護者がどのくらいの頻度で絵本を読んでいたかを調べました。
頻度は「頻繁に」が約3割、「時々」が約6割、「ほとんどない」が約1割でした。
絵本を毎日の習慣にできない家庭もあるため、「時々」が最も多いという結果には、個人的にも少し安心しました。
忙しい日は無理をせず、できる日に親子で絵本を開くことでも意味があるのではないかと感じます。
言葉以外の発達にも違いが見られた
子どもの発達は、コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人―社会の5領域で評価されました。
粗大運動は走る、跳ぶといった大きな体の動きです。
微細運動は、手先を使う細かな動きを指します。
問題解決には、おもちゃの使い方を考えることなどが含まれ、個人―社会では対人関係や生活習慣が評価されました。
3歳時点では、5領域すべてで、絵本を読む頻度が高いほど点数も高くなりました。
特にコミュニケーションでは、「頻繁に」のグループが「ほとんどない」グループより5.5点高い結果でした。
絵本と運動能力が関係するという点は、少し意外に感じる人もいるでしょう。
ただ、絵本を見ながら指をさしたり、登場人物の動きをまねたりする親子の姿を考えると、絵本の時間にはさまざまな刺激が含まれているように思えます。
発達の遅れが疑われる子にも変化
研究では、1歳時点で各領域の点数が基準を下回り、発達の遅れが疑われた子どもについても分析しています。
継続して頻繁に絵本を読んだグループでは、ほとんど読まなかったグループと比べて、3歳時点の点数が各領域で5.5点から12.65点高くなりました。
この結果から、研究チームは改善効果が大きいとしています。
もちろん、発達には一人ひとり違いがあるため、点数だけで子どもを比べるものではありません。
それでも、特別な道具を用意しなくても、身近な絵本を通じて子どもと向き合えることは、保護者にとって心強い情報だと感じます。
大切なのは同じものを一緒に見ること
絵本を読む頻度が高い家庭では、テレビやデジタルデバイスを利用する時間が短い傾向も確認されました。
東北大学病院の中村春彦医師は、大人と子どもが目線を合わせ、同じものを見る協働性が効果につながるのではないかと考えています。
私自身も、絵本は文字を教えるためだけのものではなく、子どもの表情や反応に気づくためのきっかけになると思います。
最後まできちんと読めなくても、絵を見て話したり、子どもの言葉に耳を傾けたりする時間そのものが大切なのでしょう。
大田千晴・東北大学教授は、1歳から3歳を過ぎても十分に効果があると考え、親子でさまざまな絵本を手に取ることを勧めています。
成果を急ぐのではなく、親子で同じ絵本を囲み、言葉や気持ちを交わす時間を少しずつ増やしていきたいものです。























